【第30回】『URAMI 〜怨み〜』(ジョージ・A・ロメロ/2000)

ヘンリーは真面目だが気が弱く、傲慢な上司に馬鹿にされている。
しかも、美人の妻がその上司と不倫している瞬間を目撃する。
株式仲買人の友人には、預けた株の利益を横領される。
上司、妻、親友に裏切られ、絶望のどん底に陥った彼が朝目覚めると、
仮装パーティの時に作った白い仮面が顔に張り付いていた。

『ゾンビ』や『〜デッド』シリーズ等、
一連のゾンビ映画に熱狂的なファンを持つロメロの非ゾンビ映画。

まず白い仮面の出来映えにそれはないだろうと失笑してしまう。
CGやSFX全盛の世の中で、白塗りでもなければ特殊メイクでもない。
ただのプラスチック製のお面を被った主人公が、首から上の表情もまったくないまま
声だけで喜怒哀楽を表現しようとしても、土台無理であろう。

ほぼ全てのシークエンスで、ロメロは侵入する者と侵入される者の攻防を描く。
冒頭の家の中のシーンは、妻の眠りを妨げる主人公が描かれているし、
家政婦を殺して主人公がじっと息を潜める場面も、妻の侵入が描かれている。

この攻防はほとんど全てのシークエンスで折り目正しく反復される。
浮気の現場を目撃するシーン、写真に撮って証拠を押さえるシーン、
警察が事情聴取に主人公の家を訪れるシーン

非ホラー映画であっても、執拗に繰り返されるイメージが
侵入する者と侵入される者の攻防というのが、ロメロの作家性であり限界点でもある。

中盤の首つりシーンなんて、明らかに盟友アルジェントや自らのゾンビ映画の亜流でしかない。
自動で締まるフェンスも、部屋の内部の構造自体も、既知の光景そのものである。

クライマックス・シーンのヘビー・メタルで踊るライブ会場の設定も
いったいいつの時代だよとツッコミを入れたくなる。
21世紀はもう革ジャンに鋲の時代じゃないだろう 笑。
『ロッキー・ホラー・ショー』や『爆裂都市』からもう20年以上経過しているんだから。

エンドロールのA-HA『Take On Me』のカヴァーまで
2000年代の作品とはとても思えない古めかしい演出に最後まで乗れず。

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