【第962回】『僕のワンダフル・ライフ』(ラッセ・ハルストレム /2017)

あらすじ・結末に触れていますので、これから観る方はクリックしないで下さい

【第680回】『バイオハザードIII』(ラッセル・マルケイ/2007)


 前作から5年後の世界、当初はラクーンシティ内部で抑えられていたはずのT-ウィルス汚染は結局止められず、全世界へもの凄い勢いで拡がって行った。その結果、人間や動物はおろか、緑溢れる肥沃な土地はT-ウィルスに次々に破壊され、地球は無数のアンデッド(ゾンビ)と荒廃した大地に覆い尽くされた焦土と化す。だがアンブレラ社幹部たちは豊富な備蓄を備えた巨大な地下プラントに潜み、生き永らえていた。アンブレラ社の上級幹部であるアルバート・ウェスカー(ジェイソン・オマラ)は東京の本部にいながら、世界中の各都市の各支部長達から構成される委員会の議長として、ホログラム通信で命令をしていた。北米支部長のアイザックス博士(イアン・グレン)はいわゆる「アリス計画」の首謀者だが、この危機的な状況に至った責任を取らされようとしていた。博士はアリスの血液から大量に複製した彼女のクローンを使い、アンデッドへの対抗手段や血清についての人体実験を繰り返していた。一方、クレア・レッドフィールド(アリ・ラーター)率いる集団はネバダ州にあるモーテルを拠点に、辛くも生き延びていた。ここにはかつてのU.B.C.S.隊長カルロス・オリヴェイラ(オデッド・フェール)や憎めない男ロイド・J・ウェイン通称L.J.(マイク・エップス)もパーティに加わっていた。組織化された集団は最初は50名ほどの大所帯だったが、今では生存者が30名を切っていた。ある朝、絶体絶命のピンチに襲われた集団に救いの神が現れる。彼女こそは前作でカルロスたちから離れたアリス・アバーナシー(ミラ・ジョヴォヴィッチ)だった。

 記録的ヒットを続ける『バイオハザード』シリーズ第三弾。前作でジル・バレンタインやカルロス・オリヴェイラに助けられたアリスはその後戦列を離れ、一匹狼としての日々を送っていた。彼女が1人身を隠すのは、仲間たちに迷惑をかけない為だった。アリスがこの5年間見続けた夢は、『バイオハザード』のバスタブでの目覚めに遡る。アンブレラ社の地下秘密研究所「ハイブ」の誰も生きて帰ることの出来ない罠を掻い潜り、彼女はラクーンシティ病院に強制入院させられている。閉鎖空間から外へ脱出しようと試みるアリスだったが、その度に失敗する悪夢で彼女は目が覚める。傍らには誰もいない孤独な目覚め。後に悪夢は予知夢であったことに彼女は気付く。アイザックス博士はアンブレラ社の施設に拘束したアリスから大量の血液DNAを採取し、クローンを大量に複製し、模擬実験を繰り返していた。だが複製したはずのクローン技術は、アリス・アバーナシーの超能力を超える成果を出す者がいない。クローンは決してオリジナルの複製ではない。その事実に畏れを抱いたアイザックス博士は、この世界のどこかに生存しているアリスを生け捕ろうと野望を燃やす。そんな中、第1作に登場したレッドクィーンの妹ホワイト・クイーン(マデリン・キャロル)が微弱な電波を捕らえる。衆人環視システムからの逃亡を続けていたアリスは、かつて自分の命を救ってくれたカルロスを助けるために、恐るべきT-ウイルスの一端を垣間見せる。だがそれはアンブレラ社の生け捕り計画に嵌る瞬間となる。

 今作ではもはや普通のアンデッド(ゾンビ)はほぼ出て来ない。アイザックス博士により作られたスーパーアンデッドは、アリスの血液から作られた血清を注入されたアンデッドである。容貌は眼球が黒く染まった以外アンデッドと大差無いが、知能と敏捷性に優れており、食欲に突き動かされるままの闇雲な行動より、対象を執拗に追い詰めて襲う突飛な行動を取るようになっている。また、体内に宿すT-ウィルスも感染力が強くなっている。今回は荒廃したラスベガスが舞台だが、砂漠に覆われた街の描写は真っ先に『マッドマックス』シリーズを彷彿とさせる。アンデッドの死体を食べたことでT-ウィルスに二次感染したカラスであるクロウの集団がクレア・レッドフィールド軍団を襲う様子はヒッチコックの『鳥』を想起させる。だが参照元ほど演出にキレはなく、映画は中途半端なアクションに終始する。「クレア車団」構成員の随分あっけない幕切れはマット・アディソン(エリック・メビウス)のあっけない最期の反省がほぼ活かされない。せっかくのAshantiの起用も幕切れは随分と呆気ない。クライマックスのマッド博士と彼に産み落とされたウェポンとの戦いはシリーズの宿命だが、ステロイド以上の化学物質を用いて化け物になってしまったおとこの哀れな最期もマット・アディソンほどの悲哀は滲み出ない。『マトリックス』シリーズを経て、『マッドマックス』や『ターミネイター』シリーズの威光再びという製作陣のアイデアは決して悪くないが、ありきたりな結末も含めいかにもなB級感が漂う。

このカテゴリーに該当する記事はありません。