【第32回】『ブック・オブ・ライフ』(ハル・ハートリー/1998)

1999年12月31日のNY
イエス・キリストがマグダラのマリアを伴い空港に降り立つと
人々の間には「新世紀に世界は滅亡するのか?」という不安が広がる。
キリストは人間の魂を救済するためにサタンと戦うが、
神の怒りを招いて天国から追放されても、
果たして人類を救う価値があるのか自問自答している。

21世紀目前のNYを舞台にした「ヨハネの黙示録」の翻案である本作は
過剰にコンピュータ化された大都市を生きる人間たちと
キリストとマグダラの1日の行動が交差していく。

全編デジタル・ビデオで撮影された粒子の粗い映像は、
ある種圧倒的にな90年代的な意匠を備えているので、今振り返るといささか古い。

斜めに切り取られたフレーム、コマ送りのような撮影スタイル
ハンディ・カム、シャッター速度の遅い映像は
ウォン・カーウァイとクリストファー・ドイルのスタイルをはっきりと模倣している。

スーツ姿でマッキントッシュをいじるキリストが
サタンと酒を酌み交わしながら、終末論を議論する場面などもあり、
その設定にかなりの無理はあるし、各所に設置されたマイクの意味もさっぱりわからず。

マグダラ役はPJハーヴェイで、レコード屋で試聴しながら、口ずさむ場面がある。

YO LA TENGOも出て来るし
M.V.を手掛けたBen WattやPJ Harveyや嶺川貴子の楽曲が映画内で使われているので
インディ・ロック・ファンは是非観て欲しい作品だが、見所はそれくらいかなぁ。

この映画を観るくらいなら、それこそ『恋する惑星』とか『天使の涙』を観るか
シャオシェンの『ミレニアム・マンボ』を観た方がよっぽど賢明だと思う。

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