SKY-HI / Walking on Water -SKY-HI Tour 2017 Final "WELIVE" in BUDOKAN-

オタク IN THA HOOD:DJオショウ (餓鬼レンジャー)

椎名林檎 きらきら武士

【第963回】『ミッドナイト・スペシャル』(ジェフ・ニコルズ /2016)


 アメリカ合衆国テキサス、モーテルの102号室でロイ・トムソン(マイケル・シャノン)とルーカス(ジョエル・エドガートン)は真夜中、息を潜めて外の様子を伺っていた。TVニュースでは8歳の少年アルトン・マイヤー(ジェイデン・リーバハー)が、2人組の男に誘拐されたニュースが流れている。ロイは意を決して外に出るとルーカスに告げると、布団の下に潜り、隠れていた男の子アルトンに行くぞと声をかける。彼は真夜中に分厚いゴーグルを付け、懐中電灯でアメコミを読んでいる不思議な少年だった。102号室を退出し、車に乗り込んだ3人の姿を、モーテルの女管理人は不審に思い、すぐに通報する。テキサス州からハイウェイを東へ走り州境へ、元警察官で自分たちが通報されたことを無線電波で盗聴したルーカスは、車を真っ暗にし、暗視スコープを付けて夜の街をただひたすら東へと向かう。ロイとルーカスは幼馴染だが、ロイが教団に足を踏み入れた瞬間から疎遠になった。ロイは8歳になるアルトン・マイヤー少年の義理の父親として息子を誘拐する。「牧場」と呼ばれる宗教団体、教祖カルビン(サム・シェパード)はドーク(ビル・キャンプ)に大変なことになったと話しかける。アルトン・マイヤー少年は特殊能力を有し、カルト教団の広告塔に仕立て上げられそうになったところを父親と彼の友人に助けられる。

 2011年の『テイク・シェルター』や2012年の『MUD -マッド-』など、一貫して「家族の絆」を描いて来たジェフ・ニコルズだが今作も例外ではない。当初はただの誘拐に見えた2人の強引な人さらいは、カルト教団の巨大な闇からの救出劇となる。教団の首謀者はアルトン少年を養子にし、発作時に話す謎の文言を書き留め、経典の中にこっそりと忍ばせるのだが、その偶然の数字の羅列が解読不能な国家機密であることが、ポール・セヴィエ(アダム・ドライヴァー)により明らかにされる。連邦捜査局と国家安全保障局、カルト教団による奪還作戦に巻き込まれたとも知らずに、ロイとルーカスは、アルトン少年の母親であるサラ(キルステン・ダンスト)と合流する。ベッドに眠る彼の目から飛び出した青い光線、深夜のガソリン・スタンドに突如降って来た巨大隕石、開陳された彼の能力は1977年のティーヴン・スピルバーグによる『未知との遭遇』のバリー少年を彷彿とさせる。今作でもジェフ・ニコルズによる巧妙な「実態を見せず、観客に想像させる」手腕は冴え渡る。中盤、ドークの暴挙により、カルビンに渡ったはずのアルトンの行方、ポールが受容したアルトンの崇高さ、ラストの造形はドゥニ・ヴィルヌーヴの『メッセージ』などと比べるべくもないが、DVDスルーになるのは何とも勿体ない作品である。

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