【第823回】『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス』(ジェームズ・ガン/2017)

あらすじ・結末に触れていますので、これから観る方はクリックしないで下さい

 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ待望の2作目。1980年アメリカ・ミズーリ州、まだピーター・クイルが生を受けていない世界で愛し合う2人の若者の姿。車に乗り込み、歌を口ずさむ若き日のエゴはカート・ラッセルにそっくりな代役だと思っていたら、御年66歳のおじいちゃんがイキって若き日のエゴを演じていたのには笑った 笑。2014年の前作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』において、疑似家族の証を立てたピーター・クイル(クリス・プラット)、ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)、ドラックス(デイヴ・バウティスタ)、ロケット(声=ブラッドリー・クーパー)、そして前作のクライマックスで自他の思いに駆られたグルートがベビー・グルート(声=ヴィン・ディーゼル)となり、疑似家族としての「チーム・ガーディアン」を謳歌する。まさにガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと呼ぶべき宇宙間での彼らの活動はやがて惑星ソブリンの女帝アイーシャ(エリザベス・デビッキ)に目をつけられることになり、前作同様に一転して「チーム・ガーディアン」は悪者に追われる集団になる。前作の生みの親であるジェームズ・ガンの監督・脚本の続投は様々な意味で整合性が取れた最高の判断だと言わざるを得ない。「最強のMIX Vol.1」から「最強のMIX Vol.2」への質的変化は今作ではメタ・レベルでは、ハーバート・ロスの1984年作『フットルース』から、マイケル・ナイト(デビッド・ハッセルホフ)のTVドラマ『ナイトライダー』シリーズへと移行を果たす。

 父親のエゴという名前に象徴されるように、前作でようやく疑似家族になった「チーム・ガーディアン」の元に本当の父親が現れ、片やガモーラにも義妹ネビュラ(カレン・ギラン)との確執が浮き彫りになる。このピーターとガモーラの挿話は理想的な疑似家族をあざ笑うかのように、2人の心の欠けた部分(トラウマ)に合わせ鏡のように立ち現れる。今作から偶然にも「チーム・ガーディアン」に合流したマンティス(ポム・クレメンティエフ)や、監督の実弟であり、ロケットのパフォーマンス・キャプチャも担当したクラグリン(ショーン・ガン)は今作の裏重要キャラNo.1と言ってもいい。『スター・ウォーズ』や『スター・トレック』に遅れに遅れた宇宙活劇大河ドラマは、疑似家族としての「チーム・ガーディアン」の密接なコミュニケーションを保つ一方で、登場人物たちの出自に纏わる傷をも浮かび上がらせる。前作を新しい家族が生まれるまでの葛藤の物語だとすれば、今作は家族として生きていくことの困難さを観客にまざまざと見せつける。ただのアメコミ映画と侮ることなかれ。前半と後半のめくるめくようなアクションに対し、中盤のドラマ・パートはやや凡庸で退屈だが、父と代父との間で揺れる主人公ピーター・クイルの苦悩を大写しでしっかりと丁寧に切り取っている。レニー・ハーリンの『クリフハンガー』以来の共演となるコントラクシアでのマイケル・ルーカーとある大物俳優の共演には、アメコミ・ファンでなくとも熱いものがこみ上げるに違いない。

 『ワイルド・スピード』シリーズのローマン・ピアース(タイリース・ギブソン)以上のドラックス(デイヴ・バウティスタ)のどこまでも痛快なファニーさ。8Kカメラの登場は実写とアニメとの境目をますます曖昧にする。図らずも『スター・ウォーズ』シリーズが正調シリーズよりも、ギャレス・エドワーズによって製作されたスピン・オフ・シリーズの一編である『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の方が大きな魅力を放ったように、当初はハルク、アイアンマン、マイティ・ソー、キャプテン・アメリカ、彼らの集合体であるアベンジャーズよりも明らかに地味で人気のなかった「チーム・ガーディアン」が、ジェームズ・ガンによって皮肉にも「マーベル・シネマティック・ユニバース」の稼ぎ頭に昇格した事態はMCU首脳陣にとって想定外だったはずだ。観客のニーズはスーパー・ヒーローよりも明らかに等身大の苦悩するダーティ・ヒーローたちへ向かっている。フェイズ3へ突入し、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』、『ドクター・ストレンジ』と立て続けに良作を連発し続けたガーディアンズはいよいよ来年、この3作の並行世界に登場したキャラクターたちが『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で総結集する。そこで裏エピソードに見えた「チーム・ガーディアン」の活躍が一軍に昇格を果たした時、マーベル・シネマティック・ユニバースの真価が問われるに違いない。地下世界の登場人物たちはいよいよ満を辞して、オーバーグラウンドへ浮上する。
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